Vitalreact web通信 2015年3月モンゴル報告

蒙日合弁総合病院が実現

 ウランバートルの中心街から少し離れてバヤンゴルと呼ばれる地区がある。そこは旧ロシア時代の民家と、新時代のビル群、そして、手付かずの原野が混在する発展途上の街に見えた。夜の気温はマイナス16°とはいえ、風もなく穏やかで日本のスキー場の様な体感だ。インフラの整備はまだこれからで、街灯は少なく道路の舗装も地域によってまちまちだった。一見したところ、通りには、暗いネオンが灯る
あやしい雰囲気の『パブらしき店舗』が点在しているくらいで、明るいマーケットなどはなかったが、表通りでは、夜でも女性や子どもが歩く姿も多々見かけられ、そう治安が悪いわけでもないらしいと感じた。この地区から南へ下ると遊牧生活を中心とした草原とゲルが広がり、北はロシア領に続く凍土が、そして西には砂漠地帯からなるゴビ地区へと連なる。凍土からの潤沢な湧水のお蔭でこの辺り一帯は水源が豊富だという。



 それにしても、空気が煙たい。暖房による煙のせいだ。街の中に直接、電力を供給するための火力発電所が建設されていることと、石炭による暖房が主流のこの国では、厳寒期には排出される煙で10メール先が見えないこともあると聞いた。
 宿泊先となったホテルは想定していた以上に上等で、アメニティもしっかりとしている。部屋も広く、ベッドもキングサイズだ。 ホテルの窓から
外を見ると、大きな公園レベルの広い空き地や、貧困層が住まうゲル住宅の集落も多く目につく。それも、最新の総ガラス張りの高層ビルのすぐ隣に前時代的なテント住居が存在しているのには少し驚かされた。てっきり、ゲルやパオといったテント住居は郊外の草原にしかないものと想像していたからだ。


 また、野犬居るのがそこかしこに確認出来た。10階の部屋からざっと見渡しただけでも、10匹ほどの群れを幾つか見つけることが容易に可能だった。日本を発つ前に、長年、モンゴルへ医療ボランティアに行かれている柔道整復師会の先輩先生方から、生水と狂犬病には気をつける様にと言われたことを思い出す。





 ここまでの行程を振り返ると、朝9:40発の関空からインチョン空港で乗り継ぎ、17:30頃にウランバートルへ到着。機内には、モンゴルサッカーのナショナルチームも乗り合わせていた。ショッピングモールやフードコートも特に無い地味な空港建物に、モンゴルへ来たという実感が増す。空港の周辺は、雪化粧したなだらかな山々が連なる盆地である。この国は標高
1000m級の高地でもあり、緯度の関係上、この時間でも充分に明るい。この季節は夜の19時頃まで空が明るく、夏場なら22時でも日が残るらしい。極地の白夜を彷彿とさせる。

 ゲートに到着すると、一般の搭乗客とは別の国賓などを迎える際と同じ手順で入国審査が行われ、専用の別室でパスポートの顔写真との照合審査を受けたくらいの、実にあっけない入国となった。イミグレーションと一体となったゲスト用のウェイティングルームでは、今回のモンゴル新設病院の出資者であり、プロジェクトの中心人物である日本企業社長のI氏が出迎えて下さった。先ほどの特別簡素化された入国審査は、このI社長とモンゴル政府からの計らいだ。今回の蒙日合弁総合病院新設プロジェクトは、I社長とモンゴル企業「シティエネルジー社」、そして、モンゴル厚労省の、官民一体での国際医療事業といったところである。ウェイティングルームでは、用意されていたフリードリンクと軽食で一服させていただき、談笑を交えつつ今回の病院立ち上げの経緯などをお聞きした。







 ほどなく、一行の荷物が空港職員に集められてゲストルームに到着。パスポートもまとめて返してもらい、空港からホテルへ向かった。ホテルへと向かう車中では、窓から見える工業地帯の様な武骨なビル群が印象的だった。どうやらマンション群らしい。その数は多い。人口も多いが格差社会で、富裕層はわざわざ韓国や中国、シンガポール、そして日本にまで受診に行くとのことだ。こ
の地で、モンゴル初の日本資本による総合病院が立ち上がり、バイタルリアクトセラピーによる治療がスタートするのだ。これは、本協会理事長・山﨑雅文先生が、モンゴルの医療関係者と数年の技術交流と信頼関係を構築し、何よりその施術効果を示してきた結果である。いかに山﨑理事長とその治療が畏敬の目で見られ、期待されているかは、出迎えのスタッフや日本語通訳の出来る病院事務員の態度で容易に推察出来た。現地の医師も、山﨑先生に対してはVIPを扱うかの如くだ。一体、今まで、氏はどんな神業をこの地の医療関係者に示されてきたのかと、俄然、興味がわく。






 その新設病院と宿泊先のホテルとの距離は車で15分程だろうか。モンゴル市民の運転は随分と荒い。雪道の道中、そこら中でレーンの取り合いやクラクションの応酬が見られた。無事に到着した病院の正面玄関には「モンゴル・日本合弁総合病院ウランバートルメッドの開業式にご参加の皆様、本日はお越し頂きまして、真にありがとうございます!」と、歓迎の横断幕と両国の国旗が掲げられ、ホールへと続く階段には赤い絨毯が敷かれていた。
六階建てのビルのうち、四階までが病院で、五階と六階は住居マンション。
1Fは受付、診察室、検査室、外来処置室、薬局、喫茶等。
2Fは画像診断室、透析室など。モンゴルで唯一の精密検査ラボを有する。

3Fは各ドクターの個別の診察室、バイタルリアクトセラピーの施術室、鍼灸施術室、入院施設など。モンゴルではドクター毎に専用の診察室が用意されている。
4Fは入院患者用の医局と12部屋の入院室。

以上が病院の概要だ。ワンフロアが十数室に分かれており、ベッド数は46床。モンゴルの法律では、日本と違い、一つの病院で7科目以上の診療科目を有していることが、総合病院の資格基準となる。ここでは、歯科、小児科、内科、産科婦人科、ラボ・画像診断科、(脳)神経科、泌尿器科(透析)とあるが、手術は行わない。バイタルリアクトセラピーは山﨑理事長の指導を受けて、神経科の医師が担当する。また、保険制度は無きに等しく、医療施設によりその適応も異なる。病院は開設後、しばらくその実績を査定され、多くは二年程の監査期間を経て保険取り扱いが許可される。保険が効くのは通常は入院のみ。一回の入院につき、約1万数千円程が給付されるのが国の保険であり、10日の入院でも3ヶ月の入院でも同額だ。その他、国立病院では一部の検査も保険給付が認められているが、国民にとって、たいした補助にはならない。



 何れにせよ、受診は実費診療であり、簡単な怪我、病気での通院は1.000円から千数百円。モンゴルの平均所得(格差が激しいので平均の意味は薄いが)が、だいたい8万円?10万円とのことであるから、日本で2000円や3000円の実費診療を受ける感覚だろうか。ラボでの検診が、日本円で一回二万数千円なので、こちらはドッグに入る様なものと理解した。畢竟、モンゴル人は経済的な問題から、少しくらいのことでは病院にかからずに放置し、どうしようもなく悪化してからの受診となることが多いらしい。日本の、国民皆保険制度のありがたみを感じる。ちなみに、この病院では異例の
『6ヶ月間での実績評価での保険取り扱い許可』が予定されているが、これは、モンゴルの行政・民間医療・日本企業の三位一体となった今回のプロシェクトが、如何に期待されているかを物語っている。これからここで、バイタルリアクトセラピーを取り入れた診療科目が導入されるのだ。現地に赴いてから、翌日の病院オープンに向けて思っていた以上にわくわくしていることに気がついた。


日本企業が出資したモンゴル総合病院 第一号

 蒙日合弁総合病院ウランバートルメッドは、従来のモンゴル医療機関にはなかった検査/ラボの充実と、バイタルリアクトセラピーの導入を現実のものとした、国民のための病院である。それは、経営やお金儲けよりも、仁徳と理念を重んじる日本人の篤志家・I社長の悲願であり、モンゴルの官・民からも請われてのプロジェクトであった。I社長と山﨑雅文理事長は、以前より高知の接骨院
/ヤマサキカイロプラクティックオフィスでの患者と先生という間柄でもあり、バイタルリアクトセラピーの施術を通じて絶大な信頼関係で結ばれている。その信頼に応えるべく、新病院の開設にあたっては山﨑理事長の熱意も並々ならぬものがあった。記念すべきオープンセレモニー前日の、施術機材の準備は、行路の空港審査で医療機器の組み上げと調整に必要な工具が軒並み取り上げられた他、電源の問題や、前もって輸送しておいた部材の一部が現地で紛失してしまっていたこともあり、予想外の手間と時間がかかることなった。しかし、これまでの海外での学会やセミナー、コングレスなどでの経験から不測の事態は想定していたので、随行メンバーの機転でなんとか間に合わせることが出来た。特に、紛失した、ヤマサキテーブルを固定するための木製部材を、急遽、現地の工場で製作することに奔走してくれた風間先生と清田先生に感謝したい。



 その他、理事長に随行した日本人柔道整復師は、福岡の秋吉事務局長、兵庫の藤本理事、堺の木下理事、名古屋の鬼頭理事、大阪の中野事務局担当理事の7名である。翌日の病院完成式には、東京で病院を経営する薬剤師さんと、千葉大学の女性デンタルドクター、そして、ブラジル政府から表彰を受ける程の凄腕の女性鍼灸師さんも参加されるとのこと。その女性鍼灸師さんは、ブラジルで鍼灸の効果を訴えつつ実績を重ねられ、ブラジル政府に鍼灸の開業認可をおろさせて養成校も設立されているらしい。
 さて、日曜日の病院完成式のテープカットには、約60名のゲストと40名の病院スタッフが参加。国営テレビはじめ、地元のメディアも取材に来る中、オーナーのI社長、株式会社シティエネルジー取締役/ウランバートルメッド病院幹事長 Sh. アデシアー氏、プロジェクトの推進議員である社会福祉大臣エルデネ議員、ウランバートル市バヤンゴル区・オロソー区長とスピーチが続く。他業種の地元名士の方々や、モンゴル相撲のトップ選手団も招待されていた。議員のスピー
チでは、日本とのこれからの医療交流について、直近のモンゴル政府と安倍総理との会談の内容や、厚労大臣との談話なども盛り込みながらの話がなされた。


 こうして、モンゴルで初めての医療ラボであり、病気をいち早く見つける事が出来る画期的な「市民のための新病院」がスタートした。今までは原因不明な病気は海外へ診断を受けに行っていたが、これからはモンゴル国内で精密な検査と適切な処置が受けられる様になる。なお、病院オープン直前の2月には、モンゴルの脳神経外科医師が高知の山﨑接骨院/ヤマサキカイロプラクティックオフィスへ研修のため来日され、理事長からの指導を受けておられた。さて、関係者一同によるテープカットは、豪華な顔ぶれであった。当協会にとっても、記念すべき瞬間となった。








施術報告

 モンゴルの面積は、156万4,100平方キロメートルと、日本の約4倍であり、そこに約280万人余が暮らしている。首都であるウランバートルの人口は、約128万人と集中している。今、現在でも稀に、ビジネスでモンゴルを訪れた外国人が、些細な事で当局に睨まれ、数年に渡り出国の許されない事例があるとのことで、油断は禁物だ。モンゴルの真の国際化の実現には、まだ時が必
要なのかも知れない。そんなモンゴルで初となった蒙日合弁総合病院のオープン日に、現地でバイタルリアクトセラピーを心待ちにしていた患者さんに対し、山﨑理事長が行った施術の様子を一部記載する。なお、この場面もモンゴル国営テレビが撮影していたことと、詳細は4月12日からの第35期バイタルリアクトセラピー公式セミナーで報告されることがあるので、簡単に経過のみ記すこととする。




クライアント:壮年女性

主訴:脳梗塞、右延髄の炎症、左半身麻痺
助手:現地神経科医師、随行柔道整復師、現地看護婦、通訳

〈施術手順〉
・CT/MRIによる画像確認
・ミラーチェック、DTG、マサテストによるボディバランスチェック
・臥位にて、右のフェイスアジャストと、ヤマサキテーブルによるOS調整&右の頭蓋アジャストほか
・座位にて右耳のアジャスト、右前頚部のアジャスト
・ミラーチェック、マサテスト、DTGによるリチェック

以上、システム化された一連の施術手順に従って、リザルツに導く。
原因は、ストローク(梗塞/軟化症)だが、画像診断でも頭蓋骨に明らかな変位が認められることから、そもそも遠因として幼少時の微小外傷や繰り返し損傷が影響し、脳血管障害が起こり易くなったと推察。

施術はその変性部位を狙って行われた。(最近の日本医療では画像診断を軽んじる風潮もあるが、こうして見るとやはり、精査の必要性を再認識させられる)

その後、数時間をおいて再施術。
フェイスへのアジャストから、体幹各部へのプレッシャーテクニックを施術。
そして、歩行指導が行われた。

結果、MASAテストはじめ、各データがさらに改善し、今回の施術は終了。

さて、ここでまた驚くべき事が起こった。

 施術が終わって、検査着から普段着に着替えをすませたそのクライアントが、気力を振り絞って立ち上がったのである。
 施術前は杖なしでの自立すら困難で、車椅子だったものが、その帰り間際、車椅子からおもむろに杖なしで立ち上がり、ゆっくりとではあるが歩行し、次の施術準備に向かっていた山﨑理事長のところまで数メートルを歩いて来られて、涙を流しながらハグをしたのだ。

 泣きながら、『身体が軽い!動く!ありがとうございます!』と、何度も何度もモンゴル語でお礼を言いながら頭を下げて感謝の気持ちを伝えようとされ、随行メンバーにも手を広げて『皆様にも感謝します!』と、不自由な身体でジェスチャーをされる姿に、居合わせた日本人もモンゴル人も感動を禁じ得なかった。

また一つ、奇跡的な瞬間に立ち会うことが出来た。

やはり、山﨑理事長の施術は、つくづく本物であると誇らしく感じた一幕となったことをここに報告する。




バイタルリアクトセラピーの可能性

 バイタルリアクトセラピーは、その場限りの即効性や、痛み止めの様な一時的な効果を狙ったものではない。この日も、クライアントが不調部位や症状を気にされ、訴えるが(それもまた当然であるが)、山﨑理事長はそれらが良くなるのは、まず脳・神経の働きが良くなってからのことだと諭されていた。さらに言えば、構造が直り、機能が回復することが、治ることにつながる。加え
て、いつもおっしゃるのは「患者も治療をよく知らなくてはならない」という言葉である。本人が理解し納得しなければ、目的とする良い効果を得ることは難しい。バイタルリアクトセラピーは、施術後に目覚ましい効果が現れることも多いが、本来はもっと根本的な人体機能の正常化を目的とする。その効果の神髄に到達できているのは現在のところ山﨑雅文理事長のみである。
 しかし、患者も医師・治療師もその本当の効果や違いをわかる者はごく僅かだ。触り方一つとっても、理事長と他の者とでは違うのであるが、長年、師事研鑽を努めたとしても、その真価に気付くことは難しく、生半可な努力では実感できない。そのため、バイタルリアクトセラピーを学んでいる治療師の中には、「わかったつもり」になり本人なりに満足し、そこで術の追求をやめてしまうこともある。
 また、一時的な効果の示せる技術の身についた段階で、「患者を治せる様になった」と、錯誤してしまう場合もある。その罠に陥らず、『患者の身体を救えるのは、本人の治癒力だけであり、医者はその手助けをほんの少し出来るのみである』との理念を忘れず、更に奥深い真の治療を追求し続けなければならない。



 さて、モンゴルでは、約二割の富裕層の他は余程の事がない限り診察を受ける習慣がなく、大病でも気がつかないことが多く、そのため、ガンや肝炎などでも重篤なものが放置されていたりする。また、食事に塩分が多く、肉食中心のモンゴルでは、若年でも高血圧や腎臓疾患・透析が多いとのことだ。 本病院と本プロシェクトでは、

①海外へ行かなくてもモンゴル国内で高度な医療を受けられる様にする 
②モンゴルで日本水準の医療を実現する 
③健康診断の習慣づけを浸透させる

以上の目的をうかがった。微力ながらバイタルリアクトセラピー協会もこの事業に協力をして行きたい。その夜のパーティでは、アデシアー幹事長のご挨拶の中で、これからのモンゴルの医療が日本の協力を得て大きく変革するであろうことと、政府もバックアップしていく旨が語られた。


 その夜のパーティでは、アデシアー幹事長のご挨拶の中で、これからのモンゴルの医療が日本の協力を得て大きく変革するであろうことと、政府もバックアップしていく旨が語られた。また、翌日の朝のTVニュースでは前日の病院オープニングセレモニーの様子と、主賓議員であるモンゴル日本交流議長・鉱業大臣D.ガンホヤグ議員のスピーチなどが放送されていた。その日は、前日の完成式とテープカットに続き、さらにモンゴルの大統領、厚労大臣、副大臣など、合計200名程のゲストが集まり、前日に増して盛大な内覧イベントが開催されるとのことである。通常、日本
でいちいち病院の立ち上げが国営TVニュースに取り上げられることはない。あらためて、今回の事業が国家レベルであるということと、モンゴルにおける関心の高さと話題性を実感し、身の引き締まる想いがした。





 また、即日、病院へはバイタルリアクトセラピーの受診を求める患者からの連絡が相次いだとのことである。受付への問合せの半分以上が、「あの日本人の先生はいるのか?」「脊椎を治す機械が入っていると聞いたが、その治療を受けたい」「日本人の先生はいつくるのか?」といった内容だとの事で、反響が凄いことになっているらしい。バイタルリアクトセラピーにとって、新しい一歩が記されたものと考える。
2015/3/15


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山﨑 雅文先生

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